事例としての東京

自治体が一丸となってデスティネーションとしてのブランドを作り上げようとする時、担い手に上下関係はありません。一般企業のように命令指揮系統が無いのです。担い手は個人であろうが企業であろうが団体であろうが、各々意見や価値観を持っており、それらをまとめ上げることが如何に大変か、想像に難くありません。とりわけ大都市は困難を極めます。しかしながら大都市もまた、観光客の抱くイメージが統一されなければデスティネーションとしては成功しません。その都市のイメージが曖昧模糊としたものならば、世界の他の大都市に取って代られるからです。例えば東京全体が統一された迎え入れ方をすれば、外国人観光客は東京滞在中に繰り返しそれに触れ、遂には東京のイメージがそれとして形成されるのです。

 東京都は20年の五輪を見据え、観光地としてのブランドを確立すべく、戦略を打ち立てました。ブランドを構成するための準備段階で、東京を訪れた経験のある外国人や都民に向けてアンケート調査を行い、東京のイメージを析出しました。その結果、「大都市の割には安全」、「清潔」、「多様性」、「革新性」、「食」等が、東京の価値であると判明しました。これらを国内にはインナー・ブランディング、海外にはアウター・ブランディングすべく、「伝統と革新が交差しながら、常に新しいスタイルを生み出すことで、多様な楽しさを約束する街」との包括的コンセプトが呈されました。

 インナー・ブランディングの具体例としては、各種団体が当該ブランドに共鳴する限り、「&TOKYO」というロゴを用いることができます。東京ブランドの公式サイトも創設されました。ブランドを構築するための色々な運動が紹介されており、都民はもちろん、事業者や団体の間でも共有の度が高まっています。

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